前回に引き続き「網入りガラスと窓ガラスフィルム(後編)」です
後編は「網入りガラスと熱割れ」について解説します
★熱割れのメカニズム★
窓ガラスの日射が直接当たる部分は、高温となり膨張します。一方、サッシに呑み込まれているガラスの周辺部は日射を受けず、またサッシや躯体への放熱もあり、低温のままになり膨張しません。このため、高温部の熱膨張を周辺部が拘束する状態になります。
この「膨張する力」が「拘束する力」を超えた時にガラスが破壊します。この現象を「熱割れ」と呼んでいます。
ガラスの熱割れは、ガラスのエッジから直角に走り、それから蛇行していることが特徴です
また割れ方として、クラックが1本だけ入る場合と、クラックが複数入る場合があり、比較的大きい「膨張する力」で熱割れが発生したときはクラックが複数はしります
網入りガラスは網なしのガラスと比較して「拘束する力」が6割程度しかありません。
網入りガラスは熱割れしやすいガラスであることは事実であり、事前に熱割れ計算を実施することは設計上とても大切です
★網入りガラスにフィルムを貼る場合の熱割れ対策★
実はガラスの熱割れは事前に予測することができます
フィルムの種類、方位、影、設置カーテン、ブラインドの種類、ガラスのサイズ、留材、サッシ形状、色など9~10項目の条件をそれぞれ数値、係数化したものから、応力計算をしたうえで熱割れの可能性を検討し採用可否判断をするというものです
実際の熱割れ現象はその他様々な発生要因が係わっていることも考えられるため、完全に予測することはできませんが、一定のリスクがわかれば、先ずは安心できますね
★熱割れ計算はどこでやってくれる?★
窓ガラスフィルムメーカーは自社ホームページ上で熱割れ計算ソフトを公開しているので、ユーザーご自身で直接操作することもできますが、前述9~10項目の設置条件を見極めるのは難しいかもしれません。
信頼できる窓ガラスフィルム施工のプロに依頼することをおすすめします
「信頼できるプロ」というのも大切です。フィルムのプロであっても、ガラスの留材、施工方法などの見極めができるプロは驚くほど少ないです
依頼される際はそのプロの経歴などもよく見た方がよいかもしれません
★ガラス機能を補足するのが窓ガラスフィルムの役目★
窓ガラスフィルムはガラスに遮熱性、紫外線カット、装飾性、防犯性能などを選択的に補足することができる優れた建材です
「網入りガラスは熱割れする可能性があるから、そもそも貼らない」ではもったいないです
網入りガラスでも熱割れ計算を実施して、窓ガラスフィルムが採用される例も沢山あります
ぜひ、ご一考ください