網入りガラスと窓ガラスフィルム(前編)

今回は「網入りガラスと窓ガラスフィルム(前編)」です

前編は網入りガラスについて解説します

 

網入りガラス機能や窓ガラスフィルムとの相性について、以下のような誤解が多いです

誤解1)網入りだからガラス飛散防止効果がある

網は火災時の脱落防止のためであり、地震や人体衝突でのガラス飛散防止効果は期待できません。飛散防止フィルムのJIS地震想定試験ではガラス質量の95%以上保持することを規定していますが、網入りガラスにはそのような規定はなく、飛散防止フィルムの効果には到底及びません

誤解2)鉄線が入っているから防犯効果が高い

鉄線が入っているので視覚的な侵入抑止効果があることを期待してしまいますが、この鉄線も空巣からすれば何ら障害にならず、透明ガラスと同様に数十秒で破られてしまいます

誤解3)網入りガラスにフィルムを貼ってはいけない

ホームセンターなどで売っているフィルムには予め「網入りガラスには使用しないでください」などと書いてあるので、このような理解になってしまうのかもしれません

網入りガラスは網なしのガラスと比較して熱割れ強度は6割程度しかなく、熱割れしやすいガラスであることは事実ですが、方位やガラスの設置環境、影の形状により必ずしも割れるわけではありません。

 

そもそも、建物に網入りガラスが使われている理由は何なのでしょう

網入りガラスはガラスに鉄線が入っているため火災時の熱の影響を受けてもガラスの脱落を一定時間保持する機能があるため、建築基準法により建物の防火区画範囲(延焼の恐れのある範囲)に設置することが義務付けられています

この防火区画範囲は「隣地境界線、または隣接する公道の道路中心線」から1階は3m、2階以上は5mと定められており、都市部の建物密集地などでは隣接する建物が近いことや隣接道路が狭いことから、この制限から逃れられず「建物ぐるりと網入りガラス」なんてこともあります

上述「誤解3」が事実なら東京のような都会の住宅密集地でフィルムを貼っても良いガラスはどれだけ少なくなるのだろうと思います

 

★ガラス機能を補足するのが窓ガラスフィルムの役目★

一般ガラスと同様に網入りガラスでも飛散防止効果、防犯効果を高めるためには窓ガラスフィルムを採用することの意義は大変大きいのです

後編は網入りガラスの熱割れリスクと窓ガラスフィルム貼付について解説したいと思います