窓ガラスフィルム「プロ仕様品」と「市販品(貼ってはがせる)」の違い

窓ガラスフィルムは公共の建物やオフィス、店舗だけでなく、一般住宅にも広く普及し、いまや日常のあらゆるシーンで見られるようになりました

特に住宅向けフィルムにはホームセンターやネットショップなどを中心にビル用とは異なる施工性のよい窓ガラスフィルムが普及しています

それらは「貼ってはがせるフィルム」ともよばれ、ホームセンターやネットショップなどで市販されています。

私たちプロが扱う「プロ仕様品」とは構造、機能に大きな違いがあります

今回は「市販品(貼ってはがせる)」にフォーカスしてみたいと思います

 

 

 

「プロ仕様品」と「市販品(貼ってはがせる)」の違い

 ①ガラスへの「くっつき方」

プロ仕様品は「強粘着タイプ」とよばれ、強力な粘着剤によりガラス飛散防止性能を発揮(ベースフィルムの材質に依ります)します

また、粘着剤中に紫外線吸収剤が添加されているので、紫外線カット効果が期待できます

一方、「貼ってはがせるタイプ」は粘着剤が付いておらず「自己吸着タイプ」とも呼ばれ、水で簡単に貼ることができます

ガラスに「粘着する」のではなく「吸い付く」といった方がわかりやすいかもしれません

濡れたグラスの底にコースターが貼りついてしまう原理と似ています

糊残りすることもなく何度でも貼って剥がせるので、施工に不慣れな方でもキレイに仕上げることができるのがこの製品の最大の利点です

賃貸住宅の退去時でも原状復帰が容易にできることから、DIY用として大変人気があります

「貼ってはがせるタイプ」が広く普及したのはこの「貼りやすさ」と「剥がしやすさ」がユーザーニーズにマッチしたためです

但し、その反面で「剥がしやすさ」は「剥がれやすさ」の裏返しということでもあります

紫外線カット効果が高くないので製品自体の寿命も比較的短いことも事前に知っておきたいポイントです

 

②ベースフィルムの材質

プロ仕様品のベースフィルムは一部製品を除き、そのほとんどがPETフィルムです

PETフィルムは耐衝撃性に優れるので、ガラス飛散防止効果が期待できます

また、寸法安定性に優れることから温度や経年による「縮み」も小さく、窓ガラス用フィルムには適材といえます

一方、貼ってはがせるタイプは基本的に「塩化ビニール製」または「PETと塩化ビニールの貼り合わせ」の構造になっています

塩化ビニールは成型がしやすいので目隠しやデザインフィルムの柄付けには適材といえますが、温度や経年に依る寸法変化が大きいので採用には注意が必要です

 

③ガラスの熱割れ

両者のタイプの違いによるガラスの熱割れ条件の差はありません

窓ガラスの設置条件ごとにフィルムの使用可否は異なります

(単純に「網入りガラス」や「複層ガラス」だから熱割れするとは限りません!)

プロ仕様のフィルムは当然プロによる施工になるので熱割れの事前診断が可能です

是非、プロに相談してみてください

市販品に関してはユーザーご本人が施工することが原則となっているため、同様の診断ができません

「「網入りガラス」や「複層ガラス」には貼らないでください」などといった、なんとも荒っぽい注意書きが書いてあるのはそのためです 

 

  • ④プロ仕様品(強粘着)と市販品(貼ってはがせる)の特性イメージ比較

 

採用にあたっては両者の特性を理解したうえで、判断することが必要です