窓ガラスフィルムの劣化「さざなみ現象」

前回は「窓ガラスフィルムはどのくらいの期間使用できるのか」について説明しました

通常であれば室内側施工で10年程度はほぼ心配なく使用できるのですが、中には「貼って1~2年で劣化」というものもあります

早期劣化の代表例として「さざなみ現象」とよばれる劣化現象があります

 

もしかしたら、駅や街で見たことある方も多いかもしれません

(これは透明フィルムです。模様ではありません)

 

     画像:都内某マンションで発生した「さざなみ現象」

 

簡単にいえば「窓ガラスフィルムの粘着剤が劣化により軟化してしまう現象」のことです

粘着剤が劣化によって次第に流動性を増し、フィルム基材が施工時のスキージング(ヘラによる水の掻き出し)テンションから解放され、フィルム表面に波打ちが起こります。これがまるで水面の「さざなみ」のようにみえることから「さざなみ現象」と呼ばれます

優雅な名前とはウラハラに、剥がすととにかく臭い!

貼り替え時は窓を全開にして換気します

 

このさざなみ現象は実験室での再現実験がなかなかできません

経年による粘着剤の劣化は「硬化」であることに対して、「軟化」する理由は諸説あるようですが、「紫外線」と「熱」が原因であるという説が有力です

窓ガラスフィルムの粘着剤には紫外線吸収剤が添加されており、高い耐候性を発揮します。しかしながら、紫外線吸収剤自体も紫外線により徐々に機能が低下してしまいます

紫外線の影響だけであれば、粘着剤は硬化するのですが、ここに「熱」が追い討ちをかけることで軟化現象がおきやすくなります

タワーマンションの高層階などの日射が当たる面は陽ざしにさらされ続けるので当然部屋内は眩しく、暑いです

依って日中はカーテンを閉め切りにして日射対策をするのですが、フィルムとカーテンの間の空気は高温のまま滞留し続けることが、粘着剤にとり過酷な環境になるのです

多くのさざなみ現象を見ましたが、マンションの高層階、非常階段、駅、ガラス面をボードや厚手のカーテンなどで常時塞いでいる箇所や空気の対流がないところなどに発生することが多かった印象です

北面など日射の影響を受けにくい箇所での事例もありましたが、紫外線、熱以外の「何らかの外的要因」が加わり、劣化が促進されたものだと考えられます(ブログではここまでにします)

 

10年以上前になりますが、メーカーに特定されず、さざなみ現象は全国で多発しました

この対応に追われた苦い経験から、現在国内メーカーが販売する窓ガラスフィルムには「さざなみ現象対策」が施されています

おかげで近年はかなり減少したように感じます

近年は海外メーカーなどの新規参入も増えてきましたが、さざなみ現象への対策は施されているのか興味のあるところです