遮熱フィルムの遮熱性能は何を基準に選んだらよいのでしょうか

代表の木村です

このブログでは、皆さんのご質問にたいして30年以上フィルムに関わった者として、専門的な見解をお伝えしていきたい思っています

さて、この質問大変多いです

文字通り遮熱性能のあるフィルムのことですが、最近は透明性の高いフィルムが多く出ていて人気も高いです

「明るさ」も重要なポイントみたいで、「遮熱フィルム=透明遮熱フィルム」になっているようです

 一般に遮熱性が高いフィルムは暗くなり、明るいフィルムは遮熱性が低くなる傾向があり、 「遮熱性能」と「明るさ」を両立させるフィルムは

とても高価で、大手メーカーの「透明遮熱フィルム」は腰高窓2枚で7~8万円もの費用がかかります

 

 明るさは目視でわかるのですが、遮熱性能を客観的に表す指標は何なのでしょう?

 JISでは「遮蔽係数」という遮熱性能の指標数値で示すことを規定しており、メーカー各社ともカタログにはこの数値を掲載しています

遮蔽係数とは「3mm透明ガラスの日射遮蔽を1.00とした場合の相対値」を表す数値で、「遮蔽係数:0.85」であれば、逆数(1.00-0.85)である0.15、つまり15%の日射遮蔽性能があることを指します

遮熱性能を知るうえでは非常に便利な指標なのですが、私はこの「遮蔽係数」をそのまま遮熱性能を示している数値として考えてよいものか考えさせられることが多いです 

ここからちょっと難しいお話になります

遮蔽係数は日射のエネルギー量の相対光分布から得られる重価係数を用いて数値を算出しているため、相対分布量が比較的低い赤外線波長域は遮蔽係数の計算数値に反映されにくくなっており、遮熱実証試験では同じ遮蔽係数のフィルムであっても異なる結果がでることが多々あります

「赤外線カット率○%」だけで製品PRするメーカーもいますがこれは赤外線領域に偏重しすぎていて、これまた実際の日射遮蔽性能を表す数値としては適当ではありません

つまり「遮蔽係数」や「赤外線カット率」だけで遮熱性能を判断してしまうのは如何なものか?というのが本音で、遮熱体感デモ器などで一度体感した方が分かりやすい!が結論です

遮熱体感器の光源ランプの「加工された光」と「実際の太陽光線」では光線波長分布が違う!ということを指摘する声もありますが、私の経験上いえることとして、遮熱フィルムの日射遮蔽性能を相対判断する上では「ほぼ同じ」です

現行JIS規定に問題提起するつもりはないのですが、「理屈より体感」「体感に勝るものなし」だと思っています

依って、当社では遮熱フィルムをお選びのお客様には、遮熱体感デモ器を用いて分かりやすくご説明することを原則としています

 「遮熱フィルムの遮熱性能は何を基準に選んだらよいのでしょうか」の答えは「目視と体感のバランスで決める」でした