都内の新築ビルに窓ガラスフィルムを貼ってきました
「網入りLow-E複層ガラス」に「濃色シルバーフィルム」を貼るという窓ガラスフィルムのプロであればリスクしか考えられないタフなミッションです
窓ガラスフィルムを貼る上では必ずガラスの熱割れを考慮しなくてはなりません
今回はお施主様からの強いご要望ではありますが、ガラス熱割れリスクが高い代表格の「網入りガラス」&「Low-E複層ガラス」の最強タッグ ( ;∀;)
さらにここへ「熱割れの仕掛け人」ともいえる濃色シルバーフィルムを貼るという地獄のコンビネーションには当方もさすがにビビりまして
当方「ガラスの熱割れリスクが低くないです」(「高いです」と言いたかった...)
お施主様「シルバーしか考えていません。ガラスは多少割れてもいいので貼ってください」
おおっ なんとお心の広い方だろうか (;’∀’)
とはいえプロとして「それではお言葉に甘えて(^^♪」などとは言えるはずはなく
当方「いやぁ… 検討します… はい…」
となんとも情けない受け答えをしてオメオメと退散
ただ、今回の現調で熱割れリスクの低い条件が揃っていることには気付いていたので、一縷の望みをかけ熱割れ計算GO!
・Low-E膜はシルバー ⇒ Low-Eの中では比較的リスクが低い
・網入りガラスは外使い ⇒ 好条件!
・ガラス面積 2㎡ ⇒ まずまず
・可動サッシ、濃色サッシ ⇒ 好条件!
・ガラス枠まわりは内外ともシリコンシール ⇒ 好条件!
・クロスシャドー(リスクをみてやや厳しめに) ⇒ まずまず
・カーテンは厚手でガラス面から100ミリ以上離れている ⇒ まずまず
・方位は西面
「う~ん これならいけるかも・・・」などとひとり言を言いながらソフトへ入力すると
OK (;・∀・)
「おぉ いえぇぇぇす!!!」
使用可能と判断されました
ガラスの最大発生応力も許容応力の65%程度なので、これなら先ずは安心です
【施工前】
【施工後】
※窓面1ヶ所のみ画像掲載許可をいただきました
今回は大変勉強になりました
網入り複層ガラスは10年程前から網入りガラスが「外部使い仕様」になってきているようです
熱負荷が大きくなる内側ガラスに、熱割れ許容応力の低い網入りガラスを使用しないので、遮熱フィルムを貼っても熱割れに対して以前ほど神経をとがらせなくてもよいようです(熱割れ計算は必要ですが)
「網入りガラスだから」「Low-E複層ガラスだから」という理由でフィルムは貼れないと諦めてしまう前に、窓ガラスフィルムのプロへ相談されることをお勧めします
ただし、熱割れ計算をする上で、ガラス知識までを正確に理解できているプロはとても少ないです
近年の窓ガラスは高機能化しており、熱割れなどでガラスが破損した場合の交換費用は大変高額になります
施工技術だけではなく、製品技術知識などにも精通した「 信頼できるプロ」を選ぶことが大切だと思います